甘い手
かなしい、さみしい、つらい。そういう負の感情はある時点で言葉や行動によって外に出してあげないと、つもりつもったものがふとした拍子に溢れ出して止まらなくなってしまう。五年前に一度大きく心身のバランスを崩してしまったことがあって、そのときからそれについてはずっとわかっていたつもりだったのだけれど、少し油断してしまっていたらしい。
自分を騙して偽って気を紛らわせているだけだった。それでうまくやっていけるとは思っていなかったけれど、しばらくの間はそれでもつかな、なんて思っていた。
直接触れられないものにばかり焦がれるふりをしていたのは、結局は自分を守るためだった。あたたかい場所で、子供のように手に入らないものをねだることはとても楽だったし触れることが無い分傷つくこともなかった。
ほんとうにほしいものは触れようと思えば触れられるのに決して自分のものにはならないものばかりで、そのことを考えるたびにしんでしまいたくなるよ。
一度触れてしまうとそのあたたかさを忘れることは出来ない。そしてその記憶は、寄生虫のようにゆるゆると身体を侵食しつづけ、恐らく死ぬまで続いていく。それを心地よいと感じるか、否か。甘い毒。優しい地獄。
重くなった身体を引きずる。そしていつか指先の記憶が曖昧になってもそれは私を支配し続ける。
自分を騙して偽って気を紛らわせているだけだった。それでうまくやっていけるとは思っていなかったけれど、しばらくの間はそれでもつかな、なんて思っていた。
直接触れられないものにばかり焦がれるふりをしていたのは、結局は自分を守るためだった。あたたかい場所で、子供のように手に入らないものをねだることはとても楽だったし触れることが無い分傷つくこともなかった。
ほんとうにほしいものは触れようと思えば触れられるのに決して自分のものにはならないものばかりで、そのことを考えるたびにしんでしまいたくなるよ。
一度触れてしまうとそのあたたかさを忘れることは出来ない。そしてその記憶は、寄生虫のようにゆるゆると身体を侵食しつづけ、恐らく死ぬまで続いていく。それを心地よいと感じるか、否か。甘い毒。優しい地獄。
重くなった身体を引きずる。そしていつか指先の記憶が曖昧になってもそれは私を支配し続ける。
